Aiy-yue-kwee’ Nee-kee-chue!
皆さんこんにちは、
亜希ダウニング(aki_downing)です!
カリフォルニア州のネイティブアメリカン”ユロック族”に嫁ぎ
先住民の土地でのびのび楽しく暮らしています!
さて、アメリカでも1番と言っていいほどの祝日【独立記念日(Independence Day)】がまもなくやってまいります!
よく【Fourth of July】という言葉が会話には出てくる印象です。
街中にアメリカの国旗が増え、みんなが星条旗が描かれた服を着て当日はパレードやコンサート、ホットドッグの早食い大会など。This is America!!!といったお祭り騒ぎになりますね!
、、、しかし、皆さんご存知の通り
アメリカ大陸には数万年も前から”先住民”が住んでいます。
各部族は、言葉も主食も文化も違う。数万年も前からすでに”独立”しているのです。
今日はそんなネイティブアメリカンの立場からこの独立記念日について語っていこうと思います。
- 在米セキュリティカウンセラー
- オンラインコミュニティ『LinkUp』代表
- 岩手県陸前高田市国際姉妹都市サポーター
- 翻訳者・逐次通訳者
- Webライター・Webデザイナー
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- 岩手県陸前高田市
国際姉妹都市サポーター - 翻訳者・逐次通訳者
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ネイティブアメリカンは独立記念日を祝うのか
この答えはズバリ
「Yesでもあり、Noでもある」
一言では語れない。部外者のわたしが簡単に答えていいものではないです。
同じユロック族の中でも、祝う人もいれば祝わない人もいます。
例えば子供がなにかのスポーツのチームに所属していて、その団体が町のイベントのパレードに参加するのであれば、祝います。
しかし旦那の家族・親戚・同じVillage出身の人は
”独立記念日を積極的にはお祝いしない”というのを肌で感じます。花火が上がれば見る。といったくらいです。
国旗を掲げるどころか、星条旗の描かれた洋服や食器・飾りも買いません。
”Reservation”と呼ばれるネイティブアメリカンの居住地にもし仮に私が国旗の描かれたTシャツを着ていったものなら、、、私はその日のうちにコミュニティから外されるでしょう。
そのくらい、とてもSensitiveな話題なのです。
ただの興味本位で「ネイティブアメリカンって独立記念日をどう思うの?」なんて聞かないようにしてくださいね!
私も、旦那と義理の姉たちにギリギリ聞けるくらい。信頼関係があったとしても、とてもとても気をつけて扱ってほしいトピックです。
知られていない”独立宣言”のフレーズ
ではなぜネイティブアメリカンは、積極的に独立記念日を祝わないのか。
みなさん、独立宣言についてはご存知ですか?
1776年7月4日、後に第3代アメリカ大統領となるThomas Jeffersonが行った宣言。イギリスによって統治されていた13の植民地が独立したことを宣言する文書のことです。
この文書には有名な文があります。
We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness.–
われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等で あり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているという こと。
https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2547/
この独立宣言、正式な文書は結構な長さなんですね。
この文だけ見ると、一見素晴らしいことを言っているように見えますが、、
ここでいう”All men(すべての人間)”には
先住民であるネイティブ・アメリカン、奴隷である黒人そして女性は含まれていません。
さらに
この少し先にはあまり知られていない一節があります。
He has excited domestic insurrections amongst us, and has endeavoured to bring on the inhabitants of our frontiers, the merciless Indian Savages, whose known rule of warfare, is an undistinguished destruction of all ages, sexes and conditions.
王は、われわれの間に内乱を引き起こそうと扇動し、また、年齢・性別・身分を問わない無差別の破 壊を戦いの規則とすることで知られる、情け容赦のない野蛮なインディアンを、辺境地帯の住人に対して けしかけようとした。
https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/2547/
”Indian Savages(野蛮なインディアンたち)”
どうでしょうか。
『人間と野蛮人』
野蛮人と表現された人種の気持ちを考えると、どうでしょう。野蛮人と呼ばれて嬉しい人はいるでしょうか。そしてその後、そんな野蛮な民族を大量虐殺していくのです。
ネイティブアメリカンがこの祝日を祝いたくない理由が少し分かって頂けたと思います。
この土地で昔から過ごしてきた民族に対して、このような人種差別的な言い方をする祝日は、彼らにとって、祝うに値しないのです。
もし、彼らがこの7月4日に何か特別なことをするのであれば、それはアメリカの帝国主義の結果として亡くなった何百万人もの先住民を追悼する日としています。
独立記念日を祝わないもう1つの理由
独立宣言の文書もそうですが、現代のネイティブアメリカンがこの日を積極的に祝わないのにはさらにもう1つ理由があります。
独立宣言から約100年後の1883年、アメリカ政府は「The Religious Crimes Code(宗教犯罪コード)」と呼ばれる規則を制定しました。
ネイティブアメリカンの儀式生活を禁止するものです。
居住地内での伝統的なダンスや宴会を禁止し、宗教的な慣習を乱し、神聖なものを破壊・没収し、投獄や配給の差し止めなどの脅しができるようになりました。
50年以上、ネイティブアメリカンの儀式は内密に行われてきましたが、多くのものは消滅してしまいました。
このような文化的・宗教的抑圧政策に対抗する為、一部の部族は、あえて7月4日のアメリカ独立記念日に、自分たちの重要な儀式を継続する必要があると考えています。。
ネイティブアメリカンの部族の集まりは、7月4日やその前後に行われることが多く、私がいるこのユロック族もつい先日にFamily Reunionがあったり、今月半ばにはユロック族の伝統舞踊”Brush Dance”のイベントが行われます。
しかしそれは独立記念日を祝うためのものではなく
部族の儀式を後世に残すためのイベントです。
※ユロック族は、このBrush Danceを部族以外の人間に見せることはありません。写真撮影・動画撮影も禁止されている、神秘的な踊りです。大規模なイベント用の踊りも別にあります。
各部族によって異なる7月4日
7月4日を積極的に祝おうとする部族は少ないですが、部族を上げてお祝いをするところもあります。
アリゾナ州にあるナバホ族。日本人でも名前だけは聞いたことがある方も多いかもしれません。
ナバホ族の多くは愛国心が強く、自分の国を愛しています。
ナバホ族の居住地ではこの日たくさんのアメリカ国旗が掲げられ、お祝いをするようです。
1864年に行われた「ロングウォーク」と呼ばれる強制移住や、そのほかにもアメリカはナバホ族に残虐な行為を行ってきましたが、それと同時にアメリカとの協力関係を築いてきた歴史もあります。
中でも最も有名なのは、
第二次世界大戦でナバホ族のコードトーカーが活躍したこと。
第二次世界大戦はナバホ族の活躍なくしてアメリカの勝利はなかったのです。
一方でオグララ・ラコタ族は、独立記念日を避けて生活しているといいます。
ラコタ族は、アメリカの勢力が西側に拡大することに抵抗した最後のネイティブアメリカンの部族のひとつ。
1890年にアメリカの第7騎兵隊が250人以上のラコタ族を虐殺したのです。これは「Wounded Knee Massacre(ウォンデッド・ニーの虐殺)」とも呼ばれているネイティブアメリカンの歴史を語るのに欠かせない大事件の1つです。
この歴史的大事件以降、ラコタ族はアメリカを国として認めることはありません。
それと同時に、彼らはその大事件でアメリカと戦い命を落とした祖先を称えることは忘れていません。
ウォンデッド・ニーの虐殺から130年以上経ちますが1973年から毎年行われている死者を追悼するためのマーチは独立記念日にあえて行われるのです。
独立記念日の光と影
私たち移民が忘れてはいけないこと。
それは7月4日が単にアメリカの勝利を祝う日ではないということです。
ネイティブアメリカンの人々は、いまだに差別の影響に苦しんでいます。
米国の先住民の4分の1は貧困ライン以下で生活しています。高校中退率は白人の2倍以上。アルコールが原因で死亡する人は全体で12%と、米国国民全体の3倍以上にのぼります。
サンクスギビングやコロンブス・デー(今はIndigenous People’s Dayと呼ばれている祝日)と同様、
独立記念日にも別の側面があるのです。
もちろんそれはネイティブアメリカンだけでなく、アフリカから奴隷として連れて来られた黒人も同じです。
今年の祭りで空に花火が打ち上がるときには、それを真剣に考える必要があるのです。
私達がいま住んでいるこの”アメリカ”という土地は、もともと先住民たちが、それぞれの地域で幸せに暮らしていたのだから。
彼らの多くの犠牲の上で、今年の花火が綺麗に美しく打ち上がるのです。
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