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東日本大震災から10年。アメリカ本土の被害と陸前高田市の心温まる交流

Aiy-yue-kwee’ Nee-kee-chue!

皆さんこんにちは、

亜希ダウニング(aki_downing)です!

カリフォルニア州のネイティブアメリカン”ユロック族”に嫁ぎ

先住民の土地でのびのび楽しく暮らしています!

今年の3月11日は、東日本大震災から10年という日でした。

私が住んでいるカリフォルニア州クレセントシティという小さな港町も10年前のあの日、津波により被害を受けました。

今回の記事は、クレセントシティと岩手県陸前高田市との交流について。

アメリカ本土の被害について書きますので、不安を感じやすい方はここから先の拝読をお控えください。

この記事を書いた人
  • 在米セキュリティカウンセラー
  • オンラインコミュニティ『LinkUp』代表
  • 岩手県陸前高田市国際姉妹都市サポーター
  • 翻訳者・逐次通訳者
  • Webライター・Webデザイナー
この記事を書いた人
  • 在米セキュリティカウンセラー
  • オンラインコミュニティ『LinkUp』代表
  • 岩手県陸前高田市
    国際姉妹都市サポーター
  • 翻訳者・逐次通訳者
  • Webライター・Webデザイナー
もくじ

アメリカ本土の被害

現地時間3月11日、午前7時48分(日本時間3月12日午前0時48分)

アメリカ本土で最初の津波がオレゴン州南部の町に到達しました。そこから数分後、現在私の住んでいるカリフォリニア州クレセントシティにも津波が到達します。

最大で2.5メートルの高さまで津波が到達。

35隻以上のボートと、港が被害を受けました。

この津波による被害総額は5000万ドル(当時の日本円で約41億円)にも及びました。

さらに、アメリカで唯一の人的被害も。

津波の撮影を試みた現地在住の20代男性3人が津波にさらわれ、2人は自力で岸に上がりましたが1人が死亡しました。

アメリカ本土でこの震災による多大な被害を受けたのはクレセントシティ。そして、サンフランシスコの南に位置するサンタクルーズの街です。

被害を受けた港に掲げられたパネル

”かもめ”漂着

震災から2年後の2013年4月。

クレセントシティに1隻の船が漂着します。

住民が発見し911。Del Norte Sheriff’s Officeの保安官代理の1人が対応しました。たくさんのフジツボに覆われていた船はそのままSheriff’s Stationの駐車場に移動させられました。

船を移動した保安官代理は、当時高校生だった息子さんにこのボートの清掃依頼をしました。

そこで息子さんはデルノルテ高校の全クラスをまわり、協力者を募り、集まった7人でこの船を綺麗にしました。

フジツボを綺麗に取り除いていると船の側面に漢字4文字を発見します。

そこに書いてあったのは「高田高校」の文字。岩手県陸前高田市内にある高田高校の実習船”かもめ”。海洋システム科の実習で使っていた船だったのです。

後日改めて船の専門家にこの船について尋ねると、「日本の震災で流れ着いたものなのでは」との話になりました。

その話を聞いたデルノルテ高校の生徒は、全校生徒に向けて船を返還する案を募り、生徒・保護者・市民から寄付金を集めます。そしてその年の10月、

実習船”かもめ”は無事、高田高校に戻ったのです!

デルノルテ高校に飾ってある書道部作品

市民の優しさの理由

デルノルテ高校の生徒とクレセントシティの市民は、なぜそこまでして高田高校の為に動いてくれたのでしょう。

これには、過去にこの町で起こった大災害が関係しています。

1964年、アラスカで発生したマグニチュード9.2の大地震。クレセントシティには21フィート(約6.5メートル)の津波が押し寄せました。280棟以上の建物と住宅が破壊され、11人の命が失われました。

その津波の影響でダウンタウンの大部分は破壊。

長い歳月をかけて大復興をとげたクレセントシティは、別名「Comeback Town USA」とも呼ばれています。

アメリカ本土過去に何度も壊滅的な津波被害を経験しているのはここ、クレセントシティだけ。

その当時と同じように太平洋の向こう側で、小さな町が復興に向けて取り組んでいる。この町で生まれ育った市民は、”この船を助けたい””復興のチカラになりたい”と心から思ったそうです。

陸前高田市を襲った大津波は高田高校の生徒22人を含む約2,000人の命を奪いました。

この小さな船は、その悲劇を乗り越えて何年も太平洋を漂い、過去に同じ経験をしたこの小さな町に辿り着いたのです。船の返還の為に両市は何度も連絡を取り合い、町の復興や災害対策についての意見を共有。両市の仲が深まるのに時間はかかりませんでした。

そして2014年、デルノルテ高校と高田高校は国際姉妹校協定を結び、2年後の2016年、クレセントシティと陸前高田市は国際姉妹都市となったのです。

クレセントシティ空港にある展示

奇跡の実話が絵本に

2016年、この実話を元にした絵本が日米で同時に発売されました。

絵本のタイトルは”いつまでもともだちでいようね”

日本語と英語の二ヶ国語で書かれています。

この本の収益は、日本で購入すると高田高校へ、アメリカで購入するとデルノルテ高校へ

全額寄付される仕組みです。

\Amazon USでチェック/

The Extraordinary Voyage of Kamome: A Tsunami Boat Comes Home
  • Dengler, Lori (Author)
  • English (Publication Language)
  • 50 Pages – 03/01/2018 (Publication Date) – Humboldt State University Press (Publisher)

この絵本の著者の一人、アミヤ・ミラーさんは、絵本についてこのようなお話をされています。

私もこちらのリンクから絵本を1冊購入。

息子に読み聞かせしていると後半グッとくるところがあります。私よりもずっと若い高校生が、見たことも聞いたこともない日本の町のために損得など一切考えずに動いてくれた様子に、ただただ感謝の気持ちで胸が熱くなるのです。

とても素敵なお話のほか、災害時にどのように子どもと向き合えばいいかなど親の役割についても書かれているので、ぜひおうちに1冊!持っていてほしいなと思います!!

\Youtubeでも見られます!/

国際姉妹都市へ

2016年、正式に国際姉妹都市として交流を始めた陸前高田市とクレセントシティ。両高校の生徒も、新型コロナウイルスが猛威を振るう前まで交換留学をしていました。

私も今年から現地の日本人として留学生のサポートをしていけたらいいなぁと、とてもざっくりですが考えています。だって日本人なんだもの!何か手伝いたい!!とりあえず出来ることといえばホストファミリーになることくらいですが。。笑

国際姉妹都市サポートグッズの数々。。(非売品含む)

この国際姉妹都市計画を企業を挙げて支えてくれているのが、カリフォルニアで最も古いチーズ製造会社の”Rumiano Cheese”

国際姉妹都市オリジナルチーズ「Kamome」 は2021年12月に日本国内(陸前高田市)で満を持して発売予定!!売り上げの一部は両市の高校生の交流に利用されます。こちらのチーズの原料は”陸前高田の塩”

震災後に陸前高田市に移住した女性が、「このチーズは陸前高田の塩でなければいけない。子供たちの交流に役立てたい。産業面でも国際姉妹都市同士高め合い、何かビジネスに繋がることができたら」と一念発起。クラウドファンディングで資金を集め、11キロの塩を発送し作られました!

町には大きな工場と店舗があります。

さらにクラフトビール醸造所”Sea Quake Brewing”も、両市の交流を支援しています!

「二つの町をつないだ実習船の名前にちなんで、”KAMOME”という名の友好記念ビールを作り、日本でも流通させたい!」単なる世間話から生まれたと言いますが、アイデアが浮かんでから実行するまでの早さはさすがアメリカ人。笑

陸前高田市から35名の市民団体がクレセントシティを訪問した際に、ルミアノチーズを使った創作料理とともに試飲会を開いたのです。「フルーティな香りで、ビールが苦手な人も飲みやすい」と大評判!!パッケージには実習船かもめと”奇跡の一本松”を組み合わせています。

こちらも日本で近日発売予定です!!(陸前高田市先行販売)

まとめ

実習船”かもめ”が流された潮流は、通常だとカリフォルニアまでは届かないそうです。

大地震の影響でたまたまその年に潮の流れが変わった為、”かもめ”は陸前高田市とよく似た小さな港町に流れ着き現地の人に発見されました。

来月の引っ越しが一段落したら、日本人としてなにかお役に立ちたいなぁと考えています。Readyになったら連絡してみようかなっ!!※この発言から1ヶ月半後、ちゃっかり国際姉妹都市計画のチームに加わっている私。笑 ↓写真がこちら 

カウンティ議長・市長・Sea Quake社長と私

この町に移住してきたのも何かの縁なので陸前高田市との交流を楽しみたいと思います!

今後も両都市が友好な関係を築いていけますように。

そして東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、被災された皆様の安全と被災地の一日も早い復興も心よりお祈り致します。

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